オオゴマダラは、東南アジアに広く分布するマダラチョウ科のチョウで、日本では喜界島・与論島以南の南西諸島に分布します。 繁殖には季節を選ばず、成虫の寿命も長く、数ヶ月から半年ほども生き続けます。 また、オオゴマダラをはじめマダラチョウ科のチョウは、幼虫が食べる食草の有毒成分が成虫にも残っていて、鳥が捕食することを嫌います。
マダラチョウ科のオスは、メスを見つけると、メスを引き付けようと性フェロモンを分泌しながら、メスの周囲を飛び回ることが知られています。
石垣市の市街地のはずれのミズイロナガボソウの群落で、この行動を記録することができました(下の写真)。
性ホルモンは、腹部の先端から出されるヘアペンシルというブラシ状の器官から分泌されるのですが、写真のチョウはこのヘアペンシルを出していないようです。 上の3枚連続の写真の3枚目、メスの周囲を飛び回るオスの腹部の先端にオレンジ色のものが見えますが
(今日の写真も全て、写真をクリックすると拡大します)、ヘアペンシルは黄色で、もっと長いものです。 これから出てくるのか、このオスは長く生きていて(翅が破れています)またはメスを追いかけすぎて今はヘアペンシルを出せないのか、理由は分かりません。
そのせいか、メスは逃げ出しました(下の写真)。
でも、オスはしつこくメスを追います。(私もその後を追いかけます) 下の写真は上と同じ個体です。 あいかわらず腹部を持ち上げてメスの周囲をウロウロ。 でも、オスの腹部先端にピントを合わせてみましたが、やはりヘアペンシルは出ていません。
(以下、12月24に追記)
エフさんからオオゴマダラのオスはメスをなぜ追いかけるのかというコメントをいただきました。 おもしろい質問だと思いますので、コメントで書いた内容を少し変えて書いておきます。
まず、オオゴマダラのオスとメスでは、翅の形、大きさ、斑紋などには、少なくとも肉眼で見るかぎり、差はありません。 昆虫は私たちが見ることのできない紫外線を見ることができますので、紫外線で見ればオスとメスとは違うのかもしれませんが・・・
上の記事で、オスは性フェロモンでメスを引き付けようとする、と書きました。 しかしこの事実は、一般的なガの場合はメスが性ホルモンを出してオスを引き付けるという関係と、オスとメスとの関係が完全に逆転しています。 昼と夜の行動、そして敵に襲われないということと、どのように組み合わせて考えればいいのでしょうか。
そしてオスはメスをどのように見分け、メスの何に引き付けられるのか、この本能行動を引き起こす解発刺激は何なのか、分からないことがいっぱいです。
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追っかけすぎると逃げようとする心理が働きます。
一瞬、追っかけるのをやめると、ふと、気がつくんじゃないかな
メスの方だって・・・・・
でも、こんなかけひき、通じるワケないかな?
最後の写真は、
ちょっと、出かかってるように見受けられますが・・・・・
オスとともに追っかけてた、そよかぜさんご苦労様
> ちょっと、出かかってるように見受けられますが・・・・・
オスだとは分かるのですが、ヘアペンシルそのものではありません。この状態でもフェロモンが出ているかどうか、これも謎です。
遠景をぼかしながらチョウをくっきり写すのに苦労したのですが、結局ヘアペンシルは写せませんでした・・・
そうかーうまくいきませんね
オオゴマダラ大きいから優雅そう
オスはメスを見ると条件反射で追いかけてしまうんでしょうか
蝶を追うそよかぜさんも優雅かと思いましたがそうでもなさそう
オスは性フェロモンでメスを引き付けようとする、この時点でオスとメスとの関係は、一般的なガの場合とは逆転しています。
そしてオスはメスの何に引き付けられるのか、この場合は「本能」という言葉を使うべきでしょうが、その本能行動を引き起こす解発刺激が何なのか、分からないことがいっぱいです。
ちなみに、オオゴマダラのオスとメスでは、翅の形、大きさ、斑紋などには、少なくとも肉眼で見るかぎり、差はありません。