大阪府堺市の自宅周辺とは少し違った自然とのふれあいの記録です。

トクサバモクマオウ

モクマオウ 1

上の写真、スギナにそっくり。 でも、これはトクサバモクマオウ Casuarina equisetifolia (以下、「本種」と書くことにします)です。
では本種もスギナと同じようにシダ植物かというと、じつは本種は種子植物、それも裸子植物ではなく被子植物です。
つまりスギナなどと本種とは“他人の空似”です。 本種の葉は乾燥に適応して小さく鱗片状になり、輪生することで、シダ植物の小葉類に似た姿になってしまったというわけです。

接写をやめてカメラを引くと、本種は今度はマツに似てきます(下の写真)。 もちろんマツは裸子植物ですから、マツと本種も“他人の空似”で、本種は、遺伝子分析によるAPG植物分類体系では、ブナ科やヤマモモ科などに近い植物とされています。

モクマオウ 2

本種は乾燥に適応していると上で書きましたが、根に放線菌が共生して窒素固定をしていますので、砂浜に近いような肥料分の少ないところでも生きていけます。
本種はオーストラリアやマレーシアなどに分布し、日本には自生していませんでしたが、南西諸島や小笠原諸島などで導入された木が野生化しています。 上の写真も石垣島で写したものです。

◎ トクサバモクマオウの花はこちらに載せています。

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ナピアグラス

ナピアグラス

ナピアグラス(Napier grass:学名はPennisetum purpreum)は、巨大ネコジャラシのような多年草で、高さは2m近くにまでなります。 熱帯アフリカ原産で、飼料として導入されましたが、世界中の熱帯・亜熱帯地域で野生化しています。 石垣島でもあちこちで見かけました。
ナピアグラスの花期は10月~12月。 このブログは、現在は12月の旅行で撮った写真を順次紹介していますが、ちょうどナピアグラスの花期でした。
花は雌性先熟です。

ナピアグラスの雌性期の花
    雌性期の花

ナピアグラスの雄性期の花
    雄性期の花

か弱そうでありながら、倒れずにしっかりと立っている様子や、黄金色の穂の様子などには、独特の雰囲気があります。

タツノツメガヤ

タツノツメガヤ 1

タツノツメガヤ(Dactyloctenium aegyptium)は旧世界熱帯地方原産の1年性の帰化植物です。 本州南部、四国、九州ではまれに出現するだけですが、奄美以南では普通に見られます。
葉には開出した軟毛が散生していて、特に葉鞘に近い所に毛がたくさん生えています(下の写真)。

タツノツメガヤ 2

穂状花序は、稈頂から3~6本が放射状に出ています。

タツノツメガヤ 3

一見生育の悪いオヒシバ(下の【オヒシバ】を参照)のようですが、タツノツメガヤでは、花序の中軸の先が刺状につき出していますし、第二包頴などの先に芒があります。

【オヒシバ】
オヒシバ 1

オヒシバでは花軸の先端にまで小穂がついていますし、小穂のどこにも芒はみあたりません。

オヒシバ 2

ムラサキヒゲシバ

Choris barbata 1

この仲間(Choris属)は、日本での自生種は無いのですが、牧草として導入されたり帰化したりして、熱帯域を中心に世界で約40種あり、沖縄県では、アフリカヒゲシバ(C.gayana)など、数種が見られます。
写真は熱帯アメリカ原産のムラサキヒゲシバ(C.barbata)だろうと思います。
石垣島の道の脇や空き地など、あちこちで見られましたが、イネ科などの風媒花はあまり注目されず、とたんに情報が乏しくなります。

Choris barbata 2

ナキオカヤドカリ

ここ何回か、海に近いところの植物を紹介してきました。 これらの植物を見ながら砂浜を散歩するのも楽しいものです。 漂流してきた果実や種子も所々に見られます。

ココヤシの果実

そんな砂浜にはヤドカリもチョロチョロしていました。

ナキオカヤドカリ 1

触ろうとすると、サッと貝殻の中に引っ込み、大きい方のはさみで蓋をしてしまいます(下の写真)。

ナキオカヤドカリ 2

同種だと思われるヤドカリが、いろんな貝殻を背負っています。

ナキオカヤドカリ 3


さて、このヤドカリの種類です。 ヤドカリと一口に言っても、その種類は多く、ヤドカリの仲間の属する分類の「科」は、ヤドカリ上科のオカヤドカリ科、ヤドカリ科、ツノガイヤドカリ科、それにホンヤドカリ上科のホンヤドカリ科、オキヤドカリ科、タラバガニ科と、これだけあります。
左右のはさみがほぼ同じ大きさか、左側が右側に比べて大きくなっているのがヤドカリ上科で、右側のはさみが左側に比べて大きくなっているのがホンヤドカリ上科ですので、このヤドカリはヤドカリ上科だと分かります。
大阪付近でよく見るヤドカリは、タイドプールなどによくいるのですが、石垣島で見た写真のヤドカリは砂浜を歩いていました。 そこでオカヤドカリ科ではないかと予想を立てて調べてみました。
日本で見られるオカヤドカリ科に分類されているヤドカリは、オオナキオカヤドカリ、オカヤドカリ、コムラサキオカヤドカリ、サキシマオカヤドカリ、ナキオカヤドカリ、ムラサキオカヤドカリ、オオトゲオカヤドカリの7種です。 ただしこの中には絶滅危惧種もあり、最も普通に見られるナキオカヤドカリとムラサキオカヤドカリについていろいろ調べてみると、ナキオカヤドカリは体色にはバリエーションがあるのですが、眼柄下部に黒い模様が見られるのが特徴のようで、写真のヤドカリはたぶんナキオカヤドカリだろうと思います。
ナキオカヤドカリが“鳴く”というのは、貝殻の内側を足でひっかくことにより発音するようです。 しかし音を立てる目的については、まだ解明されていないようです。


下にヤドカリに関するいくつかのHPをあげておきます。
これがヤドカリだ!
ヤドカリパーク 超ヤドカリ図鑑
オカヤドカリとは

ギンネム

ギンネムの花と実

ギンネムはネムノキに近縁で、花が白いところからの名前です。
ギンネムの人気は上がったり下がったりです。
ギンネムは中南米原産なのですが、根に根粒菌を共生させて荒地にも育ち、また根が土中に深く入るために旱魃にも強く、たいへんよく成長するので、多目的に有用な植物として世界各地に導入され、沖縄県には1910年から入ってきており、現在は鹿児島県以南に広がっています。
導入当初は、薪炭の材料や家畜の飼料に、また畑に鋤き込んだり土壌の流出を防止するために植えられたりと、おおいに利用されました。 ところがギンネムは周囲の植物の生育を阻害するとともに葉を虫に食べられることを防ぐためにミモシン(ミモザ=オジギソウに由来)という有毒物質を作っています。 このミモシンは家畜にもよくないことや農業形態の変化などもあり、増えすぎて困り者扱いされるようになってきました。 石垣島でも西表島でも、町の中の空き地や道路脇など、いろんな所でこのギンネムを見ることができました。

ギンネム

ところが、このミモシンを分解する酵素を持つギンネムキジラミという昆虫が侵入したことで、近年はギンネムの勢いが弱まりつつあります。 傾斜地の土壌流出を防いでいたギンネムがギンネムキジラミのために全滅し、斜面崩壊の危険性が出てきた所もあります。
また近年になって、ミモシンを醗酵過程で除去する技術が開発されました。 そうなるとギンネムに含まれているいろんな成分や食物繊維などが体にいいと注目されるようになり、ギンネムを原料とした茶などの健康食品が商品化されています。

ギンネムの花

モンパノキ

モンパノキ

モンパノキはアジア・オセアニアから東アフリカにかけての熱帯~亜熱帯の海岸に生育するムラサキ科の常緑低木で、日本では奄美諸島以南に普通に自生しています。
幹は裂け目が多くて見た目は荒々しいのですが、材は柔らかく加工しやすく、乾燥しても変形しにくい特性を持っています。
葉は柔らかくて多肉、表裏に細かい毛が密生していて紋羽(注)のような手触りです。 写真では手触りを体験していただけないのが残念です。
上の写真には果実が写っていますが、密についていて、付き方まではよく分かりません。 しかし、ムラサキ科の花序は渦巻き状(巻繖花序、さそり状花序)になるのが特徴です。 下は花とつぼみですが、写真にして比較すると、小さな小さな野草であるキウリグサなどともよく似ているのがおもしろいところです。

モンパノキの花序

花は径約4mm、花冠は5裂して平開し、オシベは5本です(下の写真)。

モンパノキの花


(注)紋羽(もんぱ):
 ネルのように柔らかく起毛させた綿織物。 厚地で、多く足袋(たび)裏などに用いられた。
(「大辞林 第二版」より)

クサトベラ

2月7日のスナヅルの記事の写真にも写っていたクサトベラです。 下の写真のクサトベラも、よく見るとスナヅルに絡まれています。

クサトベラ 1

クサトベラは熱帯~亜熱帯に分布していて、日本では小笠原や沖縄の海岸に群落を作っています。
葉の形も葉が裏側に湾曲する様子もトベラによく似ていますし、海岸近くという生えている環境もよく似ています。 でも葉の色はトベラより明るく、葉も柔らかく、草のようだというので「クサトベラ」なのですが、クサトベラも草ではなく常緑低木です。 葉は枝先に集中していて輪生のようにも見えますが、互生です。

花は葉の腋部につきます。 花は初めは白いのですが、次第に、黄色に変色していきます。
クサトベラはクサトベラ科、トベラはトベラ科で、似ているのは葉の様子だけ。 花のつくりは全く違います。
下の写真には花と若い果実が写っています。

クサトベラ 2

クサトベラの花冠は、掌状に5深裂していますが、花冠の上部は基部まで裂けていて、そこから花柱が直立していて、先端部はくるりとカーブしています。 花柱の先端は何やら毛がいっぱいで、多くの花のメシベの柱頭とは様子が違います。
クサトベラ科の植物はオーストラリアに多いのですが、じつはクサトベラ科の特徴として、メシベの柱頭を囲むようにして、花粉を受けとるインドゥジアム(indusium)と呼ばれている杯状の構造があり、日本語では花粉杯などと呼ばれています。

クサトベラの花

クサトベラ科はキキョウ科に近いと考えられています。 花のつくりもキキョウ科のサワギキョウミゾカクシ(アゼムシロ)などによく似ているのですが、上に書いたように、柱頭の周囲の様子は、かなり違っています。

下の写真の果実はまだ若いのですが、果実は熟すと光沢のある白色になります。
上から2枚目の写真で、果実のメシベのついていた場所にアリが来ています。 1頭だけではないので、偶然ではないでしょう。 蜜でも出ているのでしょうか? もしそうだとしたら、何のために? 気になるところなのですが、そのままになっています。

クサトベラの若い果実

グンバイヒルガオ

グンバイヒルガオ1

グンバイヒルガオは世界中の熱帯から亜熱帯にかけて分布している、葉が軍配の形をした、海岸、特に砂浜を好むヒルガオです。 日本では鹿児島県から沖縄県の海岸には普通に見られ、前回記事にしたスナヅルの寄生もよく受けます。 石垣島でもあちこちの海岸で見ることができました。
葉はクチクラ層がよく発達していて乾燥に耐えることができ、常緑で、花は夏に多いものの、ほぼ周年咲かせます。 種子は海水に浮き、海流に乗って分布を広げます(海流散布)。
日本では種子は黒潮や対馬暖流に乗り、各地に運ばれますが、夏の間に成長しても、冬の低温で枯れてしまいます。 ところが、地球温暖化の影響か、グンバイヒルガオも分布域を広げているのではないかと思われる観察例が出てきています(詳しくはこちら)。

グンバイヒルガオ2

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※ 下は大阪湾でも見かけるハマヒルガオです(りんくうタウンで撮影)。 葉の形がかなり違います。 なお、グンバイヒルガオとハマヒルガオは、似た生き方をしている海浜植物ですが、グンバイヒルガオはサツマイモ属(Ipomoea)であるのに対し、ハマヒルガオはヒルガオ属(Calystegia)です。

ハマヒルガオ

スナヅル

今日からしばらくは、石垣市の市街地を少し離れた所の植物を載せていきます。

スナヅル1

スナヅル2

上の写真の、黄色~緑色の紐のようなものがスナヅルです。 つる性の寄生植物で、光合成の中心となる葉は鱗片状でほとんど目立たず、下の写真のように他の植物の茎に組織を食い込ませて養分を吸収します。

スナヅル3

スナヅル(別名シマネナシカズラ)は、日本では九州南部から南の、主に日当りのよい海岸の砂浜に生育していて、南西諸島の海岸では、ごく普通に見られます。
花は外花被片3、内花被片3、オシベ3で、果実になっても先に花被片を宿存したまま、球形の花軸筒に包まれます。

スナヅルの花

スナヅルの実

スナヅルはクスノキ科に分類されています。 たしかにこの花の様子を見るとクスノキ科の花の雰囲気を漂わせています。
このスナヅルによく似た植物に、大阪付近でも見ることができるアメリカネナシカズラやネナシカズラなどがあります(長崎のエフさんの撮ったこれらの写真はこちらこちら)。 しかし、スナヅルとネナシカズラの仲間は全く別の植物で、ネナシカズラの仲間はヒルガオ科に分類されています。 他の植物に巻きついて寄生するという似た生き方を選んだために似た姿になったのでしょう。
保育社の原色日本植物図鑑でこれらの植物を調べたとき、スナヅルは木本編(Ⅱ)に、ネナシカズラは草本編(Ⅰ)に載せられていて、木本編と草本編ということに何か感動を覚えました。

星砂

星砂の浜

上の写真は、西表島の「星砂の浜」です。 遠くに白波が見えますが、その場所から波打ち際までは造礁サンゴの働きでたいへん浅くなっていて、波は立ちません。
この浜の波打ち際の湿った砂を掌で押さえると、掌に砂粒がくっついてきます。 よく見ると、その砂粒に、下の写真のような「星砂」と呼ばれているものが混じっています。 大きさは3mm程度、肉眼でもどうにか星の形が分かります。

星砂

星砂と呼ばれているものは、死んだ有孔虫の殻です。 有孔虫はリザリア界(注1)に分類される大型の単細胞生物で、生きている時は、この殻の中は原形質で満たされています。
星砂の写真には2種類の殻が写っていますが、星の形に近い先の尖った突起を持っている方がバキュロジプシナ(Baculogypsina)、球に近いものから先端が丸みを持った突起を出しているものがカルカリナ(Calcarina)です。

(注1)生物の分類について
リンネは生物を植物界と動物界に分類しました。 その後、さまざまな生物についての知見が深まるにつれて、全ての生物を植物と動物に分けることが難しくなってきました。 少し生物の分類に詳しい人は、生物をモネラ界、原生生物界、菌界、植物界、動物界の5界に分類するホイタッカーの5界説をご存知かもしれません。 しかし、生物の系統が遺伝子解析により明らかにされるにしたがって、生物の分類はますます複雑になってきています。 が、ここから先の話は専門的になりすぎるので、詳しく知りたい人は、Wikipediaの「生物の分類」などを見てください。

サンタンカ

サンタンカの花

そろそろ亜熱帯林を離れることにします。 地味な植物が続いたので、“お口直し”に派手な園芸植物を。
サンタンカです。 西表島の浦内川河口付近の道路路沿いに列植されていました。
サンタンカを漢字で書けば「山丹花」。 中国南部にある「山丹山」からきているそうで、原産は中国南部~マレー半島原産です。
アカネ科の植物で、花弁の先が尖っている写真のタイプの学名は Ixora coccinea。 ちっちゃなガクから細く長~い花筒が伸びていますので、この花が終わって果実になると、全く違った植物のように見えます(下の写真)。
園芸植物なので、大阪でもサンタンカの鉢植えなどが販売されているのを見かけますが、果実をつけるところまでいくのは少ないようです。

サンタンカの果実

甌穴

甌穴

西表島・浦内川の中流域に、たくさんの丸い穴の開いている場所がありました。 多くの穴の中には、丸い岩石が入っています。
この穴は甌穴(おうけつ)またはポットホール(pot hole)、かめ穴などと呼ばれています。
甌穴のでき方は、岩のくぼみに転がってきた岩石が入り、その岩石が川の渦流で回転することで、載っている岩を擦り減らして窪みを深くし、自身も角が取れて丸くなったものです。
「甌」は「かめ」の意味です。 穴の中でも岩石が回転して周囲の岩を削るものですから、口の部分より奥の方が広くなったかめ型の穴になるわけです。
静かに見えるこの川も、増水時には濁流になるのでしょうね。
来ていただいて、ありがとう
'08.12.14.より
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